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大人の音楽“モダンジャズ”に浸る

20世紀を駆け抜けた即興音楽
What is Jazz ?

 ジャズと聞くと、難解で取っ付きづらいジャンルという先入観があり、一方で洗練された大人の音楽というイメージを抱いているかもしれない。しかし、意外となじみはあり、CMやBGMに使われている演奏を耳にしたことはあるだろう。ジャズを一言で表現すれば、即興演奏(インプロヴィゼーション)。ある和音や音階を基にし、メロディを自在に奏でてリズムにも変化をつけるというものだ。

 ジャズは20世紀初頭に、ブラスバンド、ブルース、ラグタイムなどが混ざり合い、アメリカ合衆国南部の港町ニューオーリンズで誕生したといわれている。この新しい音楽はニューオーリンズジャズとして普及し、ニューヨークなどの都会で発展、創成期及び初期のジャズはビッグバンド形式であり、1930年代になるとさらに大人数を擁したスウィングジャズが流行した。

 大きな転機が訪れたのは40〜50年代にかけてのこと。それまでの楽団による伴奏音楽からミュージシャンによるジャムセッションへと変化し、ビバップ・スタイルが確立した。クールジャズ、ウエストコーストジャズ、ハードバップ、ファンキージャズ、新主流派などを経て、現在へと続く(60年代で終わったとする声もある)典型的なスタイル“モダンジャズ”はこのときから始まったのだ。

 モダンジャズが長く生き続けている理由は、楽器・人数・編成が多種多様で決定的なスタイルを持たず、また様々な要素を取り入れて変化し続けてきたからだろう。これまで多くのミュージシャンが西洋クラシックやラテン音楽に触れてきた。70年代にはファンクやロックとの融合でフュージョンが誕生している。ジャズという音楽にはいつもボーダレスな自由が溢れているのだ。
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数々の名演を生んだ楽曲たち
Autumn Leavesを聴く

 ジャズは即興演奏を基に発展してきた音楽なので、よく「名演はあっても名曲はない」といわれる。しかし、即興とはいえ演奏が生まれるにはテーマが欠かせない。実際、多くのジャズミュージシャンに愛されてきた人気曲が存在し、これらはスタンダードナンバーという呼ばれ方をしている。有名曲だと沢山の音源が残っているので、様々な曲調を聴き比べるのも一興だろう。

 『Autumn Leaves』はハンガリー出身の作曲家ジョセフ・コスマが、1945年にフランスで作曲したシャンソンの歌曲。元々はシャンソンのスタンダードナンバーであり、原題もフランス語の『Les Feuilles mortes』だった。この曲を1949年にアメリカ合衆国へ持ち込んだキャピタル・レコードが、英語題として付けたのが現在広く知られている『Autumn Leaves』である。

 ナット・キング・コールやロジャー・ウィリアムスにより、英語版はまずポピュラー音楽のスタンダードとして定着する。以後は主に有名歌手のレパートリーとなっていった。そしてジャズ界では50年代頃から演奏されるようになり、スタン・ゲッツ、マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス、キース・ジャレットといった巨匠たちも複数の素晴らしい音源を残している。

 数ある名演から一つを選ぶとしたら、最初に思い浮かぶのがキャノンボール・アダレイの『Somethin’ Else』だろう。彼はアルト奏者だが、トランペットを務めるマイルス・デイヴィスが主役になっている。録音されたのはモダンジャズ全盛の1958年で、以降、邦題『枯葉』で知られるこの楽曲は、ジャズ界で有数のスタンダードナンバーとなったのだ。
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偉大なレーベルが残した遺産
それぞれの個性的な作品群を辿る

 ジャズほどレーベル名が重要な意味を持つ音楽ジャンルも他にないだろう。レーベルとは、ジャズ専門のレコード会社名や、レコード会社の中にあるジャズ専門ブランド名のことを指す。ジャズレーベルの特徴としては、それぞれのスタイルを確立し、独自のスタンスで作品やアーティストを輩出してきたことが挙げられる。レーベルの持つ個性はジャズの発展に大きく寄与してきた。

 中でもブルーノートは最も知られている。ジャズ史上初の専門レコード会社として1939年にニューヨークで設立。創始者は音楽の愛好家だったドイツ系移民アルフレッド・ライオン。彼の親友でフォトグラファーでもあるフランシス・ウルフ、レコーディングエンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダー、デザイナーのリード・マイルスらと共にモダンジャズ黄金期を牽引した。

 もちろんブルーノート以外にも中心的な役割を担ったレーベルは存在する。1949年にプレスティッジ、1952年にはリヴァーサイドという2つのジャズ専門レーベルが同じくニューヨークで共に設立された。他にもインパルス、ファンタジー、コンテンポラリー、マイルストーン、ECMなど、数多くのジャズレーベルが生まれ、個々のスタイルを示していった。

 そんなジャズシーンで異彩を放っているレーベルの一つがヴァーブといえよう。ノーマン・グランツにより1956年に設立されたジャズレーベルだが、これまでとりわけラテンの方面において多くの名作を輩出している。また様々な大物アーティストのセッションを実現するのも特徴。スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトを組ませてボサノヴァを大ヒットさせたのもヴァーブである。
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