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運転手は車だ 未来の車は事故らない?

アメリカで無人自動車レース
目的は無人ロボット

21世紀もぼちぼち10年が過ぎようとしている。映画「マイノリティ・リポート」の原作者フィリップ・K・ディックは50年代の作家だが、氏の小説に出てくる自動車はすべて饒舌だ。「タイタンのゲームプレイヤー」では、すべての機械が意思らしき物を持つラシュモア効果によって、べらべらとしゃべりまくる。

子どもの頃、未来の自動車には人工頭脳が搭載され、目的地を告げれば、自分で考えて走行することになっていた。自動運転。可能なのか?

アメリカの軍事研究機関DARPA(米国防総省国防高等研究事業局)は「DARPA Grand Challenge」を開催している。これは砂漠や川を含む132マイル(約211km)を無人のロボット自動車で走破しようというレースだ。03年の第1回大会は全車リタイヤと散々だったが、05年の第2回大会では参加した23チーム中4台が完走、スタンフォード大学チームが優勝した。優勝賞金は200万ドル、優勝チームの開発した技術はDARPAに帰属する。

DARPAの狙いはズバリ無人ロボットだ。

DARPAは2015年に無人偵察車の導入を予定しており、その技術収集のためにこのレースを開催しているという。無人偵察機に比べ、GPSが地形により途絶えたり、川や岩石などの障害物を相手にしなければならない無人偵察車は技術的なハードルが高く、DARPAは高額の賞金をかけることで、技術競争を加速させるつもりだ。

軍事におけるロボット技術は兵士の消耗を減らすことにある。ベトナム戦争以降、戦死者数の増加に対して世論は敏感になっており、イラク戦争においても空爆はもとより無人偵察機・攻撃機を多数投入、完全に制空権を握ってから陸上部隊が進行している。

ロボットが相手の戦争なんて映画のターミネーターみたいだが、アメリカはやりたいらしい。
DARPA Grand Challenge
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交通事故をなくせ!
ASVプロジェクトの目指す道

日本はどうか。世界に冠たる自動車大国の日本だ。ロボットのASIMOだって自動車メーカーのホンダが作っている。何かやってるだろうと思っていたら、やっていた。国土交通省の進めるASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)プロジェクトである。

目的は無人ロボットではなく、交通事故の減少。究極的には交通事故をゼロにする、そのために自動運転技術を開発する。91年に第1期が始まり、5年ごとに成果を出す。06年10月に第4期がスタートした。

第1期は事故逓減のための基本技術の開発、第2期は要素技術とヒューマンインターフェースの開発、自律型自動運転技術の開発もこの時におこなわれている。第3期は第2期に開発された技術のさらなる深化とネットワーク技術の投入、第4期はASV技術の普遍化を目的とする。

ASVで開発された技術の多くはすでに市販車に搭載済みだ。オートクルーズコントロール、レーンキーピング、プリクラッシュセーフティ、ナイトビジョン、バックモニター、パーキングアシスト、ステアリング制御まで含まれば、その技術の数は膨大だ。現在は主にコストの問題から、ほとんどのASV技術は高級車を中心に搭載されている。

レクサスの最上位バージョン「LS460」は、世界最高水準の安全性を誇る。ステレオカメラと赤外線センサ、ミリ波レーダーを組み合わせ、道路上に障害物や歩行者を発見するとドライバーに警告、ドライバーがブレーキを踏まなければ自動車がブレーキングを行う。よける場合は回避行動を支援、後ろからぶつけられそうになったら、ハザードランプを点滅させて警告を送り、それでも相手が突っ込んでくる場合はヘッドレストの位置を調整し、衝撃に備える。居眠りをすると警告する装置もあるなど至れり尽くせりの安全自動車なのだ。
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通信で事故を防ぐ
日産の試み

第4期が終了する2010年、プロジェクトは終了し、予定通りASVが一般車両に搭載されれば交通事故は激減する予定である。

日産自動車のASV3を乗りに行った。日産のASV3は通信機能を搭載しており、車車間通信を行う。車同士が位置情報を教えあったりするのだが、それがどう役に立つかといえば、たとえば交差点。出会い頭の衝突事故は結構多い。向こうから車が来ることがわかれば、ぶつからずに済む。

日産では通信を使った出会い頭の事故同士技術に力を入れていて、子どもにICタグを渡し、位置情報を車に送って飛び出し事故を防ぐ「子ども見守りサービス」や交差点に設置された光ビーコンの情報を自動車に送る路車通信による事故防止「SKYプロジェクト」などを推進している。

自動運転技術はどうかといえば、理想的な空間、たとえばサーキットであったり高速道路で専用レーンを限定したりすれば、可能なのだそうだ。ただ一般道での自動運転は難しい。たとえば車の目に当たるCCDカメラの性能は人間の目とは比較にならない。解像度はもちろん、視野角も狭く、カラー映像ですらない。カラーでは情報量が多いため、コンピュータでの処理速度が落ちるのだ。センサの性能が人間に劣る以上、人間の運転する車の中をロボット自動車が走ることは大きな危険が伴う。

仮に完全な自動運転が可能になっても、実際に市場に出るかどうかは微妙だ。機械は完全ではない。人間よりもはるかに安全といっても、事故の可能性は絶対にゼロにはならない。事故が起きた時、企業の責任はどう問われるのか。それを考えたら恐ろしくて商品化なんてできない。
日産ASV-3