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冬の定番「おでん」の歴史と伝統の味を そのまま今に引き継ぐ下町の名店 |
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寒い冬のあったかメニューの定番としての確たる地位を築いている「おでん」。大人から子供まで老若男女を問わず、広く親しまれているこの三文字のひらがなに、何とも言いがたい郷愁とぬくもりを感じてしまうものだが、このネーミングの由来は江戸の昔に遡る。
豊作祈願の農村芸能であった「田楽」という舞踊の、一本の棒に捕まって人が舞い踊る姿が串刺しの豆腐に似ていることから、当時の冬の庶民の定番B級グルメであったその串刺し豆腐料理を「田楽」と呼び、それが転じて「おでん」となったといわれている。
その当時の串刺し豆腐には甘辛い味噌が塗られていて、それが豆腐からこんにゃくへと素材が変わり、やがてそのこんにゃくが芋と一緒に味噌仕立ての鍋で煮られるようになって、現在の「おでん」の原型を作ったと言われている。多くの落語や怪談でも取り上げられている、冬の夜に江戸庶民から大いに愛された大衆食である「夜鳴きそば」と並んで、屋台で振舞われる「おでん」もまた、日本が誇る伝統ある食文化のひとつと呼んでも過言ではない。
そんな古き良き時代の「おでん」を現在に伝える名店をご紹介するとしよう。あの「こち亀」の舞台として有名なJR「亀有駅」から徒歩5分、下町情緒たっぷりの路地の奥にひっそりと佇む「まづいや」さんである。実はこのお店、グルメサイトでも必ず上位にランキングされるほどの隠れた名店。このインパクトある店名は、ご主人が約30年前に屋台を引いていた頃、お客さんに「これ、まずいや」と言われたことがあったことから、初心を忘れるべからず、という戒めをこめてのネーミングだということだ。 |
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