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カスタムナイフは男の趣味

ナイフ作りという趣味
銀座菊秀で話を聞く

男の趣味として、ナイフをつくる、というのがあるそうだ。そんなもの作れるのか? 刃物だろう? ナイフといえば、小学校の時は肥後守で消しゴムを切り刻んだぐらいであまり縁がない。友人は飲み会の帰り、誕生プレゼントにもらったビクトリノックスの12徳アーミーナイフのせいで警察に調書をとられた。よほど怪しい人相だったのか。ビクトリノックスのナイフにはUSBメモリとライトがセットの製品があったりして、スパイっぽい。

そういうわけで、ナイフだ。見当もつかないので、専門店で話を聞くことにした。銀座菊秀は1914年創業、じきに100周年を迎える老舗中の老舗である。

「刃物というと鍛冶屋さんが真っ赤な鉄を叩いて作るものだと一般には思われていると思います。実際には鍛冶屋さんとは違う作り方もあるんですね。鋼を削って刃物を作るやり方があるんです」

と店主の井上さん。素人が鋼を打つことは無理だが、鋼を削ってナイフを作ることはできるらしい。

「量産で刃物を作っている場合はそうしたやり方でしてね、安い包丁なんかは大きな鋼板を型で抜いて、両側を削って焼入れをして製品にしている」

それを個人でやるというのがナイフ作り、カスタムナイフと呼ばれる趣味なのだ。
銀座菊秀の店主、井上さん
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カスタムナイフ

ステンレス鋼板を削り出す
アメリカで誕生したカスタムナイフ

カスタムナイフはアメリカで始まった。1950年代にアメリカのボブ・ラブレス氏が始めたとされ、基本的な工程は量産品と同じだ。

「ステンレス系の鋼は鍛冶屋さんは鍛造できないんですよ。温度等の問題があって非常にやりにくい。ステンレス系は削りだしなんですね。その最高のものを個人的に作ろうというのがカスタムナイフなんです」

ステンレスの質が上がっており、叩かなくても削るだけでいいナイフができるのだそうだ。

「アメリカでは非常に流行して、個人のナイフメーカーがたくさん生まれたんですが、日本では本当に一部の人しか知らなくて、我々も知ったのは1970年代の後半ぐらいなんですね。今でもそうですが、刃物というとドイツのゾーリンゲンみたいな量産品ばかりで、個人で作っているものはないんですね」

しかも非常にデザインがいい上に切れ味もいい、と井上さん。

「アメリカ人はナイフが大好きなので、コレクションをするわけです。アメリカでは有名なナイフメーカーがあるので、そういう人たちのナイフはコレクションの対象となりますね」

そこで日本もカスタムナイフを根付かせようとアメリカから材料とノウハウを持ってきたのが始まりだ。銀座菊秀は日本におけるカスタムナイフのパイオニアなのである。やがて80年代に入りバブルが始まり、カスタムナイフはブレイクする。

「バブル期でアウトドアブームだったわけです。その時はパッと広がったんですね。その時以来、好きな人はずっと継続して作っていますね」
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製作時間は20〜30時間
初心者向けのキットもあり

初めてナイフを作りたいと思ったら、何を用意すればいいのか。

「一番最初に必要なのは万力ですね。削るのに固定しなければなりませんから。それからヤスリですね。穴を開けるにはボール盤みたいなものが必要ですね。普通の電動ドリルでは開かないんですよ。磨くのは紙ヤスリのようなものを使います。あとはハンドルの材料と留めるためのピンですね」

鋼と柄で値段は変わる。特に柄に天然物を使うと価格は跳ね上がる。

「柄の材料は鹿の角ですとか良い木、貝とかキリがないですね」

完成品は何万円もするが、材料だけなら1万円程度から始められる。手順としては、?鋼にデザインを書く?デザインに沿って数カ所穴を開ける?鉄ノコで穴と穴を切断し、型に抜く?ヤスリをかける?両側から刃を削る?専門の業者に焼入れを頼む?紙やすりなどでピカピカになるまで磨く?柄に穴を開け、刃とネジ止めをして完成

「ヤスリがけをやったことがどうかでかかる時間は変わりますね。慣れている人は20〜30時間です。思ったよりもかからない。焼入れはコンピュータ管理で専門の工場で最高の状態になりますから。その後、磨いて仕上げになりますね」

鋼をナイフ状に切り抜き、柄とセットになったナイフメーキングセットもある。自分は磨くだけだ。これなら4,715円〜なので、初めての人でもすぐに取りかかれる。

「小さなナイフから始めた方がいいですね。刃渡りが7〜8センチのものであれば、比較的早く出来上がりますから。まずはそうやって1本仕上げて2本目になりますね。あまり刃渡りが長いものですと途中で挫折しちゃうんですよ。結構、そういう方も多いので、小さなものから作っていった方ができたという感覚がつかめますから」
鋼とナイフキット