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心に刻む日本の風景を貼り絵で

心温まる芸術に触れるなら
優しい表現の貼り絵が良い

 世の中には美しいものが沢山ある。彫刻や絵画などジャンルは何であれ、芸術作品は作者の想いが詰められているもの。勝ち組たるもの、ときには感性を磨くためにも、芸術を肌で感じることも必要だろう。そこで今回は紙を手でやぶいて作り上げられる「貼り絵」を紹介したい。そこには、現代の最先端技術を詰め込んだCGで描かれた絵では表現できない、やわらかく暖かい故郷の空気がある。神奈川県を代表する芸術家であり、貼り絵画家の「内田正泰氏」に貼り絵の魅力と作品に込められる想いについて伺ってきた。

 内田正泰氏(以下、同氏)は、紙をやぶいてもう50年にもなる。同氏の指にかかれば、ただの紙があっという間に芸術作品へと変わる。同氏の作品を見ると、まずその色使いにハッとさせられる。鮮やかな緑やかわいらしいピンクなど、その色使いは凡人では思いつかないようなもの。しかし、まったく違和感なく貼り絵の向こう側の情景を感じ取ることができるのだ。その理由は、同氏の熱い想いに由来するようだ。

【関連リンク】
内田正泰 貼り絵の世界(内田正泰氏のホームページ)
内田正泰氏と作品
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内田正泰氏 作品「浅い雪」

人の心に訴えかける芸術とは
熱いハートが込められたもの

 紙をやぶいて作られる絵と聞くと、なんとなく大味で大胆な作品を想像する人もいるのではないだろうか。実際の貼り絵を見てもらえばわかるが、作品は微妙なカーブを描く曲線や、鳥の羽の微妙な柔らかさまで、微に入り細に渡って表現されている。人の手でやぶられた紙で作られているとは思えないほどの繊細さなのだ。

 同氏は、どの作品においても自らが持つ五感を全て使う。それは見た人の心に、描かれた情景が少しでも臨場感豊かに伝わって欲しいという思いの表れでもある。「技術が磨かれ、"綺麗"な絵は沢山ある。だけど、それは技術であって、芸術ではない。絵を見て、その空気を感じて感動して涙が出る。そんな感情の行き交うものが芸術なんだ」と同氏は語る。

 確かに、同氏の作品には見るものを引きつける何かがある。見た人に「懐かしさ」や「安心感」を与えるような空気が同氏の作品からは流れ出てきている。そんな情緒豊かな貼り絵は、一体どのようにして生まれてきているのだろうか。同じ景色を見ても、それを表現できる人と出来ない人との違いとは一体なんだろうか。

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感動をそのまま表現する
それこそが心に響かせる手法

 同氏の作品は風景画だ。つまり、実際のとある場所の情景を、そのまま紙に乗せている。しかし、同じ場所を訪れたからといって、誰しもが同じような情景を感じ取ることができるわけではない。たとえば、足元の小さな花に気がつくかどうかや、陽がどちらから差し、どんな影を作っているのかに気がつくのか・・・といったように、人それぞれ感じるポイントは違うもの。そして、感じるものがあれば、その景色を描こうと思うわけである。ところで、写生をしようとする場合、その景色の前に座って描くか、写真を撮ったりするのが普通の流れだ。しかし、同氏はどうやら違うという。

 「自分の心の琴線に触れた情景を見ると、自分の脳の中に写真のように鮮明に記憶される。景色だけじゃなくて、そこに吹く風や、空気の流れと匂いを全部まとめて吸い込んで、自分の中にしまいこむ」と語る。そして、アトリエに戻った後は、記憶の中の情景とピッタリと重なるように、紙をやぶって、透き、重ねていくだけなんだそうだ。同氏が感じた感動のままに作品が作り上げられていく。だからこそ、感性あふれる作品が出来上がるのだろう。

内田正泰氏 作品「水車小屋の音」