日刊 勝ち組スポーツ・勝ちスポ!
横浜を散歩するならさんぽす

リニアモーターカーに乗ってみた

JR東海・超伝導リニア試乗会

乗ってはみたものの……
期待はずれの時速500km

最初はタイヤで走り、時速160kmでタイヤを格納、超伝導磁石による浮上走行に切り替わる。映画バック・トゥー・ザ・フューチャーでデロリアンが時速88マイルでタイムスリップするような感じに、少し未来を取り返す。でも座席は新幹線と同じで、かなり現実だ。

実験線はほとんどがトンネルで、ブアーッと時速500kmになると速いのはわかるのだけれど、対象が何もないから実感がない。160kmを超えてタイヤが格納されると音が変わる。ブワッと変わる。さらに速度が増して行き、電光板の数字がバンバン上がっていくと、それにつれて風の音がうるさいうるさい。飛行機に乗る度にゴーゴーという騒音を、エコノミーだからな、エンジン真横だし、と我慢していたのだが、あれは風の音だったのかと初めて気づいた。

そういうわけで、時速500kmの実感もあまりなく、浮いた感じがちょっと面白かったけどそれぐらいのもので、外に出ようとすると乗車記念とかでリニアの絵が描かれたクレジットカードみたいなものを渡されて、それもまた東京タワーの記念メダル的だ。

期待が大きかっただけに、ガッカリした。でもよく考えたら何に期待していたのか、何があると思っていたのか。
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これが未来だ!
圧倒的パワーを目と耳で知る

70年代的な21世紀、それは圧倒的な何かだった。月旅行のように圧倒的に遠かったり、リニアモーターカーや原子力飛行機のように圧倒的に速かったり、それは卑小な現実、公害とインフレの中で閉塞しつつあった日本人の気持ちを覆す、科学という神が約束するご利益だ。姑息な拝金主義、小賢しい現実主義を力でねじ伏せる圧倒的な未来。

だが現実の未来は「リニア讃歌」であり、その所帯臭さ、平成ですらない。むしろ昭和だ。ガッカリもする。

トンネルとトンネルでつながれた実験線も、リニア見学センターの前では大きく開く。トンネルからトンネルまでの数百mを時速500kmが走っていく。

トンネルに超伝導リニアのヘッドライトが見えた瞬間だった。ズガゴーンと聞いたこともない爆音とともに、青い塊が突っ込んできた。ヒッと息を呑み、後ずさった。

何だ、これは。

乗っている時はわからなかった。新幹線も、これに比べたらチンチン電車である。速いなんてもんじゃない。狂ったような速さである。そりゃ山の中に実験線、当たり前だ。爆音というか破裂音というか、これは恐怖に近い。

JR東海のリニアモーターカーは技術的には実用レベルにあり、予算さえあれば、すぐにでも商用化できるそうだ。予算の見積もりは8兆円。とんでもない額である。しかし、と思う。このモンスターを採算で考えるなんて馬鹿げている。神がコストを考えるか? コストは人間のもの、リニアのあの速さは神のものだ。

あまりの速度に大笑いした。リニアモーターカーは正しくリニアモーターカーであった。ありがとうJR東海。あの頃の未来に我々は生きている。
JR東海・超伝導リニア試乗会