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徹底解剖!ハタラク中国人のお仕事意識 

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“会社で働く”ってなんだろう。
日本の常識を疑ってみる!?

 「もう、こんな会社辞めてやるッ!」会社帰りの居酒屋。ビール片手にそんな言葉を口にするサラリーマンは、決して少なくありません。しかし、そのなかで本当に会社を辞めてしまう人は、ごく少数です。

 「困難を耐えてこそ美徳」「入社後すぐは下積みでも当たり前」「自分の会社を裏切るのは恩知らず」なんて、呪文のように繰り返される、日本の企業社会の精神風土。さらには、退職後の身分の不安や世間体の悪さも……。最近は転職市場も活発化していますが、いわゆる「ジョーシキ」という言葉の持つ拘束力は、まだまだ非常に強力です。それゆえに、みんなは不満をいっぱいに抱えながらも、次の朝には当然のように会社へと向かってゆくのです。

 しかし、この「ジョーシキ」は、世界中ではあくまで日本だけで通用するローカルなルール。アメリカやEUの社会のみならず、お隣の中国のビジネスマンの目から見ても、ナンセンス極まりないようです。中国人にとって、会社とはあくまで「自分の提供する労働に対して対価をくれる“だけ”の組織」。日本のように、会社そのものが愛着や帰属意識の対象になるケースは多くありません。自身が起業している仕事ならともかく、自分に報酬のともなわない会社の利益 (=他人がお金を儲けること) のために時間や生活を過度に犠牲にさせられたり、不当に能力を抑圧されることには「オカシイ」と感じてしまうのが普通なのです。

 つい見過ごしがちな、日中間の労働に対する意識の差異。しかし、これをおろそかにして、現地採用した中国人社員にソッポを向かれたり、現地起業に失敗した企業家は後を絶ちません。今回は、そんな中国人のビジネス意識について、紹介しましょう。
“会社で働く”ってなんだろう。日本の常識を疑ってみる!?
中国的転職事情報告。会社はどんどん乗り換えろ!?

中国的転職事情報告。
会社はどんどん乗り換えろ!?

 中国語で転職は“跳槽(ティアオザオ)”。ひと昔前に流行った「ホッピング」のように、会社の上をピョンピョンと飛び跳ねて移動するイメージの言葉です。

 中国の社会が事実上の資本主義に移行した80年代以降、若いビジネスマンにとって転職は当然の行為になっています。経験者転職に限らず、新卒採用1ヶ月目での転職も、決して不思議なことではありませんし、社会的にマイナス評価を受けることもありません。むしろ、転職は自分がより高い待遇を受けるための積極的な行動として評価される行為。転職を繰り返す人は、社会から必要とされている、能力の高い人として見られることもめずらしくありません。

 事実、中国国内のシンクタンクが日中で同時に実施した調査によれば、社会人経験15年以内の中国人男女の7割が転職の経験者、転職回数が2回を越える人も全体の5割にのぼるという、日本人にとってはちょっと信じがたいような結果が出ています。また、同調査によれば、転職者のなかの4割強は未経験分野への転職を経験。彼らに人気の職種は、ソフトウェア開発・営業・物流・ファイナンスなどといわれますが、職業選択の理由に、仕事内容への興味よりも給料を選ぶ人も多いようです。

中国労働市場・仁義なき戦い。
最後に頼れるのは自分だけ……?

 転職市場が花盛りの中国。しかし、新卒者の就職状況はかんばしくありません。中国の就職戦線は買い手市場。スキルのない人間をムリに育成するより、即戦力になる転職者をリスク覚悟で雇用したほうが、企業の利益になるという発想です。社会保障や労働関係の法律不備もあって、中国企業の人材雇用は極めてシビア。数々の転職を乗り切った勝ち組が登りつめてゆくいっぽう、新卒者は正社員でも非常に低い月給で働かなくてはならないという問題も発生しています。

 「会社」のために働くことが多いといわれる日本人。対して、中国人は「個人(=自分自身)」のために働く人が大多数。そして、現在のかの国の労働市場は、この気質をより強める方向に作用しています。中国のビジネスマンにとって、会社とはいつ自分のクビを切ってくるかわからない相手。もちろん会社にとっても、従業員がいつ他社に移るかわからないため、優秀な者を高給でつなぎとめるいっぽう、未知数の人間に優しい顔はしません。

 そんな彼らにすれば、働く理由はもちろん「自分」のため。職場で高い能力を示してゆけば、雇用側が高給と引き換えに自分を残そうとする。会社の労働に、学校やサークルのような帰属意識を持つ日本人とは違い、中国人にとっての労働は、あくまで個人と会社の「契約関係」なのです。社員であっても、彼らは基本的に「個人」の事業主なのだともいえます。彼らが総じて持つ強い起業志向の理由にも、納得がいきますね。

 玉石混交の膨大な労働人口をかかえる中国。労働市場の冷徹なシステムは、多くの人間から「使える」従業員を選び出したい雇用側と、より自分の利益となる働き場所を探し続ける労働者側の意向が生みだしたものなのです。

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中国労働市場・仁義なき戦い。最後に頼れるのは自分だけ……?
身体を動かすなんてイヤ。仕事内容への奇妙なこだわり

身体を動かすなんてイヤ。
仕事内容への奇妙なこだわり

 さて、次に中国人の「職種」についての意識を解剖してみることにしましょう。有史の開闢(かいびゃく)以来、治水や戦乱には悩まされても、「働く人間の数」だけには困ったことがない中国という国。職種に関する考えかたにも、やはり日本との大きな違いが存在します。

 この道30年のソバ職人、カリスマ的接客術を誇る銀座のママ、「つゆだく」の盛り付けは誰にも負けない牛丼屋のアルバイトさん……。日本では、ひとつの分野を極めた人や自分の役割をきっちりこなすプロフェッショナルに対して、その職種や収入にかかわらず一定の尊敬を払うという文化背景が存在するのはご存知の通りです。

 ところが、中国で社会的に尊敬を払われる職業は、ずばりホワイトカラーのみ。この理由として、単純に高給をもらえる職業が尊敬されるという風潮があるいっぽう、一般の肉体労働に大きな価値を置かない、儒教的な考えかたに基づく伝統概念の存在も無視できません。中国の一般の大学生は、ホールスタッフやガテン系のアルバイトを、ほぼ絶対に行いませんが、この理由も根っこは同じでしょう。「読書(=勉学にはげむこと)によって一般労働から逃れる」という概念は、社会主義革命後の一時期を除いて、中国社会で一千年以上も常識となり続けていた根強い思想。企業による一朝一夕の社員教育で、簡単に消え去るものではありません。

 これらの事情を理解していれば、日系メーカーで総合職として現地採用した新入社員の中国人が、工場での現場研修の最中にプイっといなくなって辞めてしまった……、なんてニュースにも、納得のいく説明ができるようになりますね。

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