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酢の王様「バルサミコ酢」の華麗なる世界

バルサミコ酢を知れば、
あなたの美食もレベルアップ!

 バルサミコ酢とは、イタリア特産のブドウが原料の果実酢の一種だ。イタリア語での言い方を使用してアチェート・バルサミコ(Aceto Balsamico)や、短縮してバルサミコとも言う。バルサミコ(Balsamico)とはイタリア語で「芳香がある」という意味。
 近年のイタリア料理ブームで、日本でもすっかりおなじみの感がある。大きなスーパーや百貨店の食料品売り場では、何種類ものバルサミコ酢が売っている。

 さて、そこで読者諸兄はお気付きになったかもしれないが、バルサミコ酢の値段に非常に格差があるということだ。一体、これはどういうことなのか。
 実は、本当に「バルサミコ酢」と呼んでいい物は、極わずかしか存在しない。
 では本当の「バルサミコ酢」とは何なのか。食にうるさいイタリア北部の町、エミリア・ロマーニャ州モデナ〜レッジョエミリア地域で作られるバルサミコ酢こそが、イタリアの厳しい食の法律DOP(注)に定められたバルサミコ酢なのだ。

※注 DOP(ディ・オ・ピー)はD.O.P.とも記され、イタリア語でDenominazione di Origine Protettaの略で、原産地保護名称のこと。イタリアワイン、チーズなどの伝統的食材に対し、品質管理と産品保護のため地域を指定した上、基準をみたすものに DOP を付して販売することを許可する制度。
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「本物のバルサミコ酢は
イタリア人も食べたことがない」?

 バルサミコ酢は、基本的にはブドウが原料の酢で、熟成させることにポイントがある。ブドウを圧搾したての頃は、大樽ですが、だんだん濃縮されてくるので、その量も少なくなり、小樽に移されるようになる。最低12年の熟成と決められたブドウを原料にし、伝統的な製法で作られたものだけが「伝統的なバルサミコ酢(アチェート・バルサミコ・トラディツィオーネ)」としてDOP認証される。

 それ以外のバルサミコを名乗るほとんどは、熟成期間の短いブドウ酢を主体に着色料、香料、カラメル等を添加した物で、正すならば「バルサミコ酢風味調味料」と呼ぶべきだろう。
 「バルサミコ酢風味調味料」は製造にかかる年月が短く大量生産ができるので、250ml〜500mlの瓶に入っていて、大体500円前後から、高くても3000円くらいの値段だ。一方「伝統的なバルサミコ酢」は前述の厳しい製法の中で少量しか生産できず、100mlが1万円〜3万円以上もするが、手間から考えれば当然の値段かもしれない。

 世間一般には、前者も後者も両方含めて、「バルサミコ酢」で通ってるのが現実。これが、バルサミコ酢の値段の格差の正体である。
 ちなみに、「伝統的なバルサミコ酢」は高価なため、特に本場イタリアでも、実は料理の調味料に使われることはほとんどない。イタリア人の九割以上は食べたことがなかったというほど。「ローマで出回り始めたのはここ10年ぐらいの間」という話もある。
 
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バルサミコ酢を見分ける!
バルサミコ酢の急所を押さえる。

 「伝統的なバルサミコ酢」と「バルサミコ酢風味調味料」を見分けるのは簡単。前述したように、産地がモデナかレッジョエミリアで、原料が「ぶどう」のみの表記であれば「伝統的なバルサミコ酢」。そうではなく、カラメル色素や香料などが加えられていれば「バルサミコ酢風味調味料」。

 ここで、勘違いしてほしくないのだが、この「バルサミコ酢風味調味料」がすべて粗悪品だというわけではない。長い伝統があり丁寧に作られている「バルサミコ酢風味調味料」は、もちろんたくさん存在する。
 短い熟成期間を補うために、カラメル色素を足すなどで香ばしさ・甘さなどを補う等しているが、それでも十分にバルサミコ酢の酸味を楽しむことができる。
 また、適量まで煮詰めることによって、「伝統的なバルサミコ酢」に近い甘さと風味を出せるので、手間を加えれば安い「バルサミコ酢風味調味料」でも十分に美味しく食すこともできる。近年、「バルサミコ酢」が注目されているのは、むしろ手頃な値段で気軽に使える「バルサミコ酢風味調味料」のおかげだとも言える。

 どちらを選ぶかは、まったく個人の好みであるが、頻繁に料理に使用する目的であれば手頃な価格のものを買えばよいし、本物を常に選ぶ本物志向の男であれば、高価な「伝統的なバルサミコ酢」を一度手にしてみることをお勧めする。
 以上を踏まえて、今回は以降の文章で「伝統的なバルサミコ酢」と「バルサミコ酢風味調味料」の両方を「バルサミコ酢」に統一して表記させていただくこととする。
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