|
|
完全養殖VS蓄養 近大マグロが達成した偉業 |
|
「世界中でマグロの養殖は行われていますが、それらは完全な養殖ではなく、蓄養(ちくよう)という方法で供給されているものです」と、大久保氏。 蓄養とは、海で獲ったマグロを生け簀で大きく太らせて市場に売りに出す、という方法。餌を過分に与えられたマグロは脂肪分、つまりトロが多い。
日本では幼魚のヨコワから、海外では主に成魚のマグロを漁獲して、それを生け簀で育てているという。 「それでは、従来のマグロ漁と同様、天然資源を利用していることに変わりはありませんよね」 近大マグロの完全養殖はこの蓄養とは大きく違い、マグロを卵から人工孵化させて育てている。しかも、現在飼育されている完全養殖マグロの親の代も人工孵化で育ったマグロだから、100パーセント自家生産のマグロというわけだ。
もちろん、すべての近大マグロが完全養殖ではない。大学ブランドとして商業化しているとはいえ、大きな目的は大学の研究施設だから、蓄養を含め、さまざまな形態での段階的な研究が続けられている。 「では、実際に養殖の生け簀を見ていただきましょうか」 大島事業場場長補佐の岡田貴彦氏の案内で、大久保氏とともに船に乗り込み、マグロの生け簀に向かう。実験場の建物からおよそ10分で、生け簀の並ぶ海域が見えてきた。 「今日はちょうど出荷の日なので、釣り上げるところを見れますよ」 |
|
|