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クジラを食い尽くせ! 絶品尾の身に驚嘆

ネットでクジラ通販
クジラのコロを食べてみたい

 開高健の「開口閉口」にクジラのコロの話があった。<コロというのはクジラの厚い脂肪層から熱で脂をぬいた>後のダシ殻で、これをおでんの具にすると<ダシにぐっと深さと厚さがでて、コクが濃くなる>そうだ。

 食べたことないな、コロ。博多生まれなので、小さい頃は刺身はクジラ、ベーコンもクジラが普通だったけれど、コロは食べなかった。
 コロは関西の食べ物で、いわばクジラのホルモン、脂がこってりのったワイルドなやつらしい。想像するに焼酎が飲みたくなるが、京都の小料理屋では<コロを火であぶり、ちょっとキツネ色に焦げがついたところで>ダシで煮てまかないにしていた。これが<クジラの脂と思えないくらい上品に、ふっくらと仕上がって>いたそうだ。その味に驚嘆した開高氏はコロを買い、丸1日、家で煮てみたが、<テンでだめだった>。料理はそういうものだ。自分も毎度のことだ。

 急にクジラを食べたくなった。魚とも肉とも違う、独特の香ばしさ、ぬるんと捉えどころのない食感が無性にうまそうに思えてきた。早速ネットで調べると千葉県のハクダイ食品がクジラを扱っていた。クジラはすべて食べられると聞くが、すごい部位のバリエーションだ。コロと味付けしたくじらの干物「くじらのたれ」や舌の「サエズリ」も買い込んだ。

 くじらといえば尾の身、ほとんどが赤味の鯨肉の中で唯一の霜降り部位である。最後に食べたのは小学生の低学年、味など忘れた。これは日鯨商事に手ごろな価格のニタリクジラを見つけた。手ごろといっても約100グラムで税込3675円、送料別だ。並みの和牛よりはるかに高い。
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さすが哺乳類 初めてのクジラに戸惑う

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初めてのクジラに戸惑う

 届いた鯨を前に困った。コロって、何だこれ。カッチンカッチンに乾いて、ペンギンを干したらこんなじゃないのか。そんなのが10ほど入っている。水に一晩浸し、戻すらしい。コロはクジラの皮の乾物なのか。わかっていなかった。パック裏の説明に従い、水に浸して一晩。何となく柔らかくなった。ダシで煮始める。

 開高氏のチャレンジにならい、まず最初に網であぶってみた。焦げる。キツネ色になる前に焦げる。どうにもよろしくない。途中で切り上げ、ダシを張って煮始めたが、いつまでたっても柔らかくならない。これはどうもモツみたいなもので、ちょっと似たぐらいではまるで歯が立たないことがわかった。端を齧ってみると、黒い皮が口にへばりついてマズイ。途中、刺身でもおでんの具でもいいというサエズリを加え、腰を据えて煮ることにする。

 先に刺身を食べることにする。ガッチガチに冷凍されて届いた尾の身を解凍すると、真っ赤な血が溜まった。さすが哺乳類。すごく生だ。サエズリはクジラベーコンの変形といった感じで、脂肪層と身とがキレイに分かれている。
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食欲爆発、尾の身のうまさ
新しい刺身の味である

 刺身にした尾の身を並べると、血の塊といった感じで生々しい。松坂牛並みの高級品で、グラム約4000円もする尾の身はキングオブクジラであり、クジラなんてマズイだろうと他県の人が言おうものなら、きさん尾の身を食べんとなんば言うとうとや、と博多人は怒る。

 そんなに怒るほどうまいのか? 生姜を載せて食べる。柔らかい。クジラの肉は柔らかいものだけれど、さらに柔らかい。脂は全体に薄く乗って、こってりではない。牛刺しとトロのハイブリットな感じだ。うまいじゃないか。

 クジラを食べたことがないという嫁に食べさせた。

 「かすかに血の匂いがして、鉄分が多い味がする。レバ刺しのすごくいいのみたいな感じ?」 言われてみれば、レバ刺しにも少し似ている。血が多いからか? 「昔はカツにして食べてたんでしょ、クジラ。カツにして食べるような雰囲気じゃないよね。贈答品みたいで、手がかかっている気がする。高級品って感じがするもん」 尾の身はカツにはしないけどね。ああ、うまい。尾の身、尾の身と言うだけはある。子どもに一切れやったら、刺身の残りを食われた。子どもだけにうまいものには食いつきが違う。

 サエズリも刺身にしてみた。これは上等なクジラベーコンだ。スモークされているわけでもないのに、香ばしい。この匂いはクジラの匂いだったのか。食べると内側がモロモロと崩れ、外側がペロンと脂で、食べた記憶がある。「ベーコンを生で食べたみたいな感じ?」 そのまんまじゃねえか。
食欲爆発、尾の身のうまさ 新しい刺身の味である