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血はバラの香り! 香水ガム「オトコ香る。」

世界はただ匂いで成り立っている
究極の香水の物語

 まさか映画化されるとは思わなかった。1983年に発表されたP・ジュースキント「香水」(映画名はパフューム)はすべての人間がひれ伏す究極の香りを生み出すために、殺人を繰り返す天才調香師の話である。全世界で1500万部を売った大ベストセラーであり、当然といえば当然の映画化なのだが、なぜできないと思っていたか?

 舞台は18世紀のパリ。物語の始まりはこうだ。〈川はくさかった。広場はくさかった。教会はくさかった〉。以前、インドを旅行した時、浜辺が牛糞で埋まっていると思ったら人糞だったことがあって、迷惑千万。公共性とか衛生とかの感覚が日本人と遠く離れているインド人だが、昔は西洋人も汚かった。

 ベルサイユ宮殿にはトイレがほとんどなく、紳士淑女が階段の陰で排泄し、町の人々は二階から路上へ汚物をぶちまけた。糞尿を踏まないようにハイヒールが生まれ、臭いを消すために香水が生まれた。美の都であり、世界のファッションを先導するパリだが、その根は悪臭と汚濁を栄養としていたわけだ。しかもラストはカリギュラも真っ青、男女入り乱れてのエクスタシー。背徳の物語がどう映像化されたのか、興味深い。

 匂いは強烈だ。視覚や聴覚が脳の新皮質を経由して大脳辺縁系に至るのに対して、嗅覚はまず大脳辺縁系に入り、その後で新皮質にアクセスする。新皮質は人を人たらしめる知性を生み出すのに対して、大脳辺縁系は喜怒哀楽から性欲、ハイな気分まで原始的な情動を司る。つまり匂いは知性を介さずにダイレクトに人の気持ちを左右するわけだ。たかが匂いとはいえ、侮り難いのである。

世界はただ匂いで成り立っている究極の香水の物語
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血液を経由、汗腺に分泌 皮膚から染み出すバラの香り

血液を経由、汗腺に分泌
皮膚から染み出すバラの香り

 どんな悪口よりも「クサイ!」と言われるのと傷つく、それが中年だ。カネボウフーズ?の「オトコ香る。」は、そんな中高年を救う、男性のための香るガムである。

「ニンニクの臭いが強い食品を食べると、翌日まで体が臭いことがあります。匂い物質が毛細血管を通して汗腺から分泌されているのです」(商品開発部長 牧野 晋)

 血液を通じて香気成分が体外に排出されることは、経験的には知られていたが、実際にその量を測定することは難しかった。2005年8月にカネボウフーズの食品研究所と名古屋工業大学教授(当時・現在は?ピコデバイス取締役)津田孝雄氏は、皮膚からの香気成分を捕集・分析するノウハウを確立、バラに含まれる香気成分「ゲラ二オール」が経口摂取で皮膚から放出されることを確認した。

「オトコ香る。」には「ゲラ二オール」が配合されている。だから、このガムを噛むと体からバラの香りがする男になる。

「研究段階ではバラを搾ったオイルを飲んだりしていたようですね」

 研究員は大変だ。牧野氏の体験では、噛んで1〜2時間くらいすると汗が匂います、とのこと。汗をかけばかくほど匂いは立つ。

「研究所のそばにスーパー銭湯があるので、サウナでもやってみようと。ものすごいことになったようです」

 それはまさにバラ風呂だ、バラ風呂。寝る前に噛むと朝起きたら布団がバラの香りらしい。関東圏で年間4億円の販売を予定している。実は06年にも全国販売を行ったのだが、1カ月半で3億円も売れ、売れすぎて販売を中止した経緯がある。メインターゲットは中高年。打倒、加齢臭である。
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色気と香りと赤と黒
ゲラニオールの実力やいかに?

 バラの香りには鎮静効果があるという。だから「オトコ香る。」を噛めば、周りには落ち着いた男に見えるはずだ。

 発売前の「オトコ香る。」(07年3月19日から発売)をもらってきた。前回の販売分が今もネットで売られており、希望小売価格158円(税込)のガムに数倍の値がついているという。そんなに欲しいのか。それほど切実に臭いのか。

 さっそく開けてみる。黒いパッケージがセクシー。中高年の元気のため、マカも入っているそうだ。疲労回復、精力増強の真打といわれるマカにサービスサービス。

 中身は黒と赤のエクスタシーな包装紙で、ちょっとドキドキ。男が香るわけだから、やはり匂い立つような男の色気といったイメージか。とりあえず一枚噛んでみる。ピンク地に濃い赤の粒々、この粒々がゲラ二オールか。牧野氏の言うとおり、実験データでも、噛み始めて2時間で香りがピークを迎えている。時計を見ながら2時間後、手や脇の下を嗅いでみたが、どうもはかばかしくない。まだ肌寒く、夏場のように汗はかかない。そのせいか、自分でわかるほどには匂わない。

(これではダメだ) ガッツリと匂いたい、そう思った。
色気と香りと赤と黒 ゲラニオールの実力やいかに?