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男40にして始める羊毛フェルト人形作り 

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40歳にしてアーティストへの転身をした
フジイミツグ氏主催「男の羊毛カフェ」

 何かを創造していくという行為は、ある意味で人間の本能のひとつである、といっても過言ではあるまい。

 子供時代には誰もがアーティストであった。空想を楽しみ、無意識のうちに既成概念では計り知れないようなモノや絵を生み出していたものだ。

 それがだんだんと年齢を重ねていくごとに、社会との折り合いをつけるため、何かを創り出すという行為の悦びを心の奥底にしっかりと封印してしまわざるを得なくなってくる。そう、それこそが大人になるための儀式であると言わんばかりに。

 なぜ、こんなことを書いたかというと、今回取材をさせてもらった「男の羊毛カフェ」の主催者であり先生でもあるフジイミツグさんは、なんと40歳の時にアーティストに転身したと聞いたからである。
 しかも、それまではごく普通に工場勤務をしていたという。36歳のときに職を失ったのをきっかけに、それまで携わっていたCADの知識を生かし、キャラクターのデザインを始めた先生。それが、今ではTVや新聞からも引っ張りだこの人気アーティストへと上り詰めていったのだ。

 先生がすごいところは、常に「アートとビジネスの融合」を考えているというバランス感覚のよさ。
 これこそがまさに「大人の」アーティストと呼べる所以であり、我々のような40代のオヤジに多大なる勇気を与えてくれるところなのだろう。まさに、先生は私たちに「あきらめるのはまだ早い」と言っているかのようだ。

 そんなフジイミツグ先生が今、もっとも力を入れているという「男の羊毛カフェ」にお邪魔しようと思ったのは、そんな先生の生き様に興味を持ったということもある。
 そして、いつしか封印していた創作の喜びを取り戻すためでもあるのだ。
40歳にしてアーティストへの転身をしたフジイミツグ氏主催「男の羊毛カフェ」
40歳にしてアーティストへの転身をした
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あえて「男の」と銘打つにはワケがある シンプルかつワイルドな工程は男向け!?

あえて「男の」と銘打つにはワケがある
シンプルかつワイルドな工程は男向け!?

 まずは「羊毛カフェ」とは何ぞや、ということから説明しよう。
 東京地区での開催は今回で4回目となるこのイベント。簡単に言えば、人形作りである。お茶やお菓子をいただきながら、和やかな雰囲気の中で数人が寄り合って羊毛フェルトのキャラクター人形を作るのである。

 そのキャラはもちろん、フジイミツグ先生オリジナル。なんだ、人形作りか、と馬鹿にすることなかれ。あえて先生が「男の羊毛カフェ」と銘打ったにはそれなりのワケがあるのだ。

 まず、作業内容がかなりワイルドなのである。人形作りというと裁縫などの針仕事を想像しがちだが、同じ針仕事でも、「男の羊毛」は一味違う。カラフルな羊の原毛を、ニードルと呼ばれる針でひたすら突く! 突く! 突く! 
 原理はといえば、羊毛の表面のキューティクルが、針で突っつかれることで複雑に絡み合って、固まっていく。すなわち、ふわふわの羊毛が固まって、フェルトの塊になるっていうことだ。

 なるほど、サンプルの人形を触ってみると確かに硬い。これがまた、軟弱なフワフワ人形と違う男らしさを醸し出しているというのだ。
 サンプルなどを見ながら説明を受けると、興味もわいてくるし、確かに記者でもできそうだ。物事の面白みというものは、とにかくやってみないことにはわからない、というのが記者の持論。

 ということで、男40歳にして羊毛フェルト人形作り初チャレンジの運びとなったわけだ。
あえて「男の」と銘打つにはワケがある
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街角アーティストが集う街・深川の
ユニークなアートスペースで受付開始

 今回、「男の羊毛カフェ」をプロデュースしたのは「深川いっぷく」という元調剤薬局を改造して作られた多目的スペース。
 マネージャーの白濱万亀さんがアートコディネーターということもあり、そこはさながらギャラリーのごとく、多くのアーティストたちのためのオープンスペースになっていて、ウクレレやハープなどのライブや落語会や各種ワークショップも開催されるという。

 本来は「男の羊毛カフェ」もここ「深川いっぷく」にて開催される予定であったのだが、参加人数が予想以上に増えたため、急遽近くの集会場にて実施することになったとのこと。今回の参加者は12名。記者を含め、7名が初心者。各メディアに取り上げられた結果、注目度が高まっている証拠だ。

 その日、「深川いっぷく」のある深川資料館通り商店街では、「第7回 花みずき街角誰でもアーティスト」なるイベントを開催していて、この「男の羊毛カフェ」をはじめ、朗読会や展示、各種アートパフォーマンスが繰り広げられていた。

 店先に展示された作品などを眺めつつ、参加者全員で会場まで移動。参加者の顔ぶれを見ると「男の…」と銘打っているのにも関わらず、男性は記者を含めて2名のみ。あとは、うら若き女性ばっかり…。

 しかし、ココまで来たからには気後れすることなかれ。美しい女性に囲まれながらの「男の羊毛カフェ」っていうのも、いいじゃないですか…。

街角アーティストが集う街・深川のユニークなアートスペースで受付開始
街角アーティストが集う街・深川の
ユニークなアートスペースで受付開始を携帯で見る
ひたすら針を動かす作業工程に不思議な心地よさすら感じてしまう

ひたすら針を動かす作業工程に
不思議な心地よさすら感じてしまう

 まずは、各自席について概略の説明を受ける。先生が羊毛カフェ用に考案したキャラが二種類。初心者用の「ローリー」と中級者用の「フーミー」のうち、記者は当然、初心者用キャラをセレクト。

 型紙を貰い、使用する羊毛の色を決める。そのローリーというのはウサギを原型としたキャラだし、小学生である娘へのお土産になるかと思い、ピンクにしてみる。
 電子秤で計量した10gのピンクの羊毛と、作業台として使用するウレタンマット、それにニードルと呼ばれる針を手渡され準備完了。

 その羊毛を丸めてウレタンマットの上において、押さえながらひたすら針で突いていく。
 羊毛の全体をまんべんなく突付きながら、カタチ作っていくのだが、この作業はかなり集中力が必要。ちょっと油断をすると、羊毛を抑えている左手を針で突付いてしまう可能性があるからだ。

 とにかく、突く! 突く! 突く! 無口になって頭の中を真っ白にして、針先に神経を集中。
 この単純作業を続けていると、何となく心地よい気分になっていくのはなぜだろうか? 恐らく、頭の中の雑念が追い払われることによって、座禅や瞑想と同じような脳内環境になり、精神療法的な効果を生み出しているのか。確かにこれこそ「男の…」とは言い得て妙なるものだと感じた。

 ボディができたら、耳、尻尾という各パーツも同じように作り上げていく。そして、耳や尻尾の根本に、解した羊毛のひげを残しておいて、ニードルで突っつきながらボディに貼り付けていく。最後に、目、口を同じような要領で取り付けて完成。型紙にはなかった眉毛は、オリジナルで取り付けてみた。
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