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艶めかしいソファー |
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さてここで、少し毛色の変わったソファーのお話をしましょう。
美術の教科書などで、ダリの手による赤いソファーを見たことがあるでしょう。それはくちびるの形をしていて、色は真赤。サルバドール・ダリ美術館の、とある部屋全体が、「メイ・ウェストの顔」と名付けられたひとつの作品となっており、くだんのソファーは、ほぼその中央部分を占めています。
鈍い黄金色をしたカーテンは何重にもドレープを作って垂れさがり、部屋全体を飾っています。クッションの後部には左右対称に二つの開口部を設けられた肌色の暖炉が置かれていて、その上部左右の壁には、モノクロの額縁が。ひとつひとつを見るとただ不思議な形をした家具だというだけですが、少し離れて部屋全体を眺めて見ると、少したれ目の女性の顔に見えてくるのです。 その女性の名こそが、「メイ・ウェスト」。センセーショナルなシナリオを自ら手がけ、悪女の役を得意とし、ついにはハリウッドを追放されたという、伝説の女優です。
このように、部屋でもあり、女優の顔にも見えるというような手法は、「ダブルイメージ」と呼ばれ、シュールレアリズムの旗手であったサルバドール・ダリが得意としたものなのですが、もしこの世の中にソファーがなければ、他のどの家具が、唇を表現しえたのでしょうか?
柔らかくて艶めかしい唇は、ソファーの印象そのものだと言えるのではないでしょうか。もし、ソファーに座ることがあったら、眼を閉じて想像してみてください。美女の唇の上に座っているような妖しい気分になってきませんか? |
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