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古今東西・ソファーいろいろ

応接室に鎮座するソファー

 今、日本家屋は大きな変化を見せています。畳敷きの部屋が減り、フローリングの床が増えてきました。
 そうなると、畳にはつきものだった座布団もあまり見られなくなり、代わりに椅子の需要が伸びています。
 そして、ささやかな変化ではありますが、ソファーの存在価値が変化してきているようです。

 母の実家には、応接室がありました。1DKのウサギ小屋に住んでいた私にとって、椅子とは、一人で座るものでした。
 ところが、その部屋には、3人でゆっくり座ることができる、子供なら寝ることもできるような、大きな、そしてやわらかい椅子があったのです。
 5歳だった私にとって、それは広々とした椅子であり、ベッドであり、そしてなにより、「ゴージャス」という言葉を如実に感じさせるモニュメントでありました。

 「ソファー」という名前を知ったのは、小学生になってからのこと。
 家にソファーを持つ友人も何人かいましたから、そのときには、それはもうそれほど珍しいものではなくなっていました。それでもやはり、祖父の家でその家具を見ると、何か誇らしい気持ちになったものです。

 祖父のソファーは布でできていたため、ほこりを吸って、かび臭いような、皮革でできたものとは違う粉っぽいような匂いがしました。それは、図書館の隅で忘れられた外国の本のように、応接室の磨きこまれた床の上で、少し居心地悪そうにしながらも、威厳を保っているように見えたのです。
椅子
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オーダーメイド

ソファーがゴージャス感を有するわけ

 今、お店ではどんなソファーを扱っているのかと、ふと思いつき、さっそく、ある家具ショールームを訪ねてみることにしました。

 広々としたフロアーに並ぶソファーは、10種類ほど。革でできたものもあれば、布製のものもあります。
 座ってみると、むむ……たまたまかもしれませんが、革製のものの方がクッションが柔らかいようです。その代わりお値段は3倍程度に跳ね上がり、三人掛けのものを購入しようと思えば、我が家の1か月分のお給料が飛んでいきそうです。

 気づいたのは、どれもこれも、クッション部分の位置が低いということ。
 オフィスにある椅子に、普通に腰をかけると、床に足がちょうどつくぐらいの高さですよね。それに比べると、ソファーは低いんです。だから、脚をまっすぐに下ろすと窮屈。脚を前に投げ出して、上半身を背もたれに預け、ふんぞり返った姿勢で座るのが楽なように作られているのですね。

 ソファーに座ったおじさんをイメージしようとすると、葉巻を咥えた偉そうな中年男性を思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか。その想像が、なおさら高価で手の届かないもののように思わせる原因でした。
 でも、おじさんだけじゃなく、おばさんでも、お姉さんでも、お兄さんでも、そこに座ると、偉そうな姿勢になっちゃうものだったんです、ソファーって。

 また、オーダーメイドでソファーを作ってくれる会社もあるようですから、世界に一つのオリジナルを手に入れて、その上に座り、思う存分偉そうな気分に浸るのはどうでしょう。
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いまどきのソファー

 ビーズクッションが登場したのは、もう10年ほど前のことになるでしょうか。通常のクッションは、真綿や化学繊維でできた綿が入っているものです。しかし、それは形が変化しづらく、湿気を含むと固くなってしまいます。

 その点、ビーズクッションは、中に小さな発泡スチロールのビーズがたくさん入っているので軽く、また水分を発散しやすいので、湿っぽくなることもありません。
 また、発泡スチロールは空気を含むので、保温性は抜群です。なによりも形が変化自在なので、上半身を少し起こした状態にして、寝そべることもできますし、枕にすることもできる。万能のクッションが誕生したと、当時の私は思ったものです。そしてそのあと、ビーズはさらに細かく繊細になり、その感触も向上しました。

 このビーズクッションを応用したソファーがあれば、どれほどすわり心地がよいだろう……そう考えていたら、やっぱりありました。その名も「">王様の腰掛け」。これは座ってみたい!

 これを展示してあるお店を探し、行ってきました。中にはビーズだけでなく、綿も混合されているようで、すわり心地は抜群。普通に置かれていたらなんだか奇妙な形のクッションですが、人間が座ると姿を変形させて、一人用のソファーになります。浅く腰かければ、ちゃんと背もたれもできるんですよ。

 体の側面をクッションに預けて軽く脚を組むと、テレビを見る時に快適なポーズになりますし、上部に顎を載せて、両手で抱きかかえると、テレビゲームをするときなどによさそうです。

 展示物の上でいろんなポーズを試していたら、子どもたちに笑われてしまいました。
王様の腰掛け