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女性を夢中にする ホースライディング

“健康器具”がチャンチャラおかしくなる
ホンモノのホースライディングが人気

 先日、近所の電気店でアレを試してみた。“乗馬療法”を取り入れた家庭用のフィットネスマシンとして話題になっているアレだ。

 なるほど、ナショナルがかなりの歳月をかけて開発しただけのことはある。
 コマーシャルで見てイメージしていたよりもずっと乗り心地がよく、確かにテレビなどを観ながら気軽に運動できそうだ。一昔前に主流だった大型の機器に比べて、スペース的にもムリがない。

 一方、ホンモノの乗馬、ホースライディングの方も、ジワジワと人気が高まっているという。
 「もしや、フィットネス機器が火種になっているのでは?」
と想像してしまった筆者は、あまりに浅はかだった。

 取材で訪れた乗馬クラブ「エルミオーレ埼玉」に一年前から通っている30代の女性会社員は、「あんなの、ぜーんぜん」と一蹴。
 同クラブのインストラクターの男性(20代)には、「ぼくも乗ってみたけど、アレはちょっと違いますね」と失笑されてしまった。

 ふ〜む。なればその人気の秘密は?
 なんで今、ホースライディングなの?
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馬とのコミュニケーションを深める悦び

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 2003年9月に、埼玉県越生町にオープンしたエルミオーレ埼玉の、岩島マネージャー(39)は言う。

「確かに、馬に乗りたい人は増えていて、乗馬クラブも増加傾向です。うちの場合、現在80名ほどの会員さんがいて、そのうちの約8割が、30代から60代の女性です」。

 取材に訪れたのは、関東地方が梅雨入りした日だった。
 にもかかわらず、同クラブには会員の姿が途絶えることなく、雨の中でも馬に跨り、颯爽と闊歩する会員の姿があった。その全てが女性。

 池袋から電車で1時間半ほどかけて通っている前出30代の女性は、「一年ほど前から始めて、週に1〜2度来ている」という。
 また、埼玉県富士見市から車で来ていた40代の専業主婦も、「2年前に始めて、週に1〜2度は来ている」。

 さらには、「週4日」という練馬区から車で来ていた60代のツワモノ女性も!
 もっともこちらの場合、自身の所有馬を同クラブに預託されているということもある。
 が、それにしてもみなさん、並々ならなぬ入れ込みぶりだ。何が彼女たちをそこまでして惹きつけているのか?

 健康、ダイエット、馬が好き、動物好きなどなど…きっかけそのものはさまざま。でも、共通して聞かれた言葉があった。

 「馬に触れていて気持ちがいい」「馬を手入れしているのが楽しい」

 えっ、どうして? 乗って走るのが楽しいんじゃあないの? との筆者の疑問は、レッスンの中身を知るや解かれたのだった。

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乗馬レッスンは「馬に乗ること」だけではない

 「乗馬」=「馬に乗ること」はちょっと違う。
 「馬に乗ること」は「乗馬」の一部ではあっても、すべてではない。一般に、乗馬クラブで行われている「乗馬レッスン」とは、次のようなものだ。

1、馬房から馬を出し、洗い場で装具(馬装)前のお手入れ
--蹄の裏についたオガクズなどを取り除き、全身をブラッシング

2、鞍などの馬装をする

3、馬場へと移動し、馬に跨ってレッスン(約40分間)

4、洗い場へ移動し、再びお手入れ
--足の汚れを落とし、蹄の裏を洗浄した後、清潔なタオルで拭く
--汗のかき具合などにより、全身をタオルで拭く
--ブラッシングで毛並みを整える

5、所定の馬房へと戻す

 つまり、「馬に乗る」ことは約40分でも、その前後それぞれでたっぷり20分、合計で40〜50分のお手入れが含まれていて、ワン・レッスンが1時間半ほどになるのだ。

 「お金払って馬の手入れ?」と思うなかれ。このお手入れをする会員さんの表情は、実に楽しそう。
 されている馬の表情は至福そのもので、その目は明らかに「ありがとう」と言っていた。

 ハハ〜ン、なるほど。同じく女性の筆者は、なんと〜くではあるがわかった気がした。

 即物的な遊びではなく、利害やしがらみが絡んだ人間関係でもなく、純粋に自分の想いを注ぐことのできる、感情を敏感にキャッチしてくれる相手、馬とのコミュニケーションに悦びがある。

 そして、少しずつ築き上げた信頼関係が、ストレートにライディングに反映され、一体となって宙を駆ける快感になるのでは?


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