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北京近郊ぶらり旅 中国世界遺産特集

中国の世界遺産
あなたはいくつ知っていますか?

 中国の世界遺産といえば、まずは故宮(紫禁城)と万里の長城。というよりも、それ以外の遺跡をすぐに思い出せる人は案外すくないのではないだろうか。

 しかし、中国は世界でも屈指の歴史と文化をほこる国。なんと全土で33ヶ所もの認定地域を擁する、アジアでもトップクラスの世界遺産大国なのである。

 中国の世界遺産を語るにあたって、ぜひ覚えておきたいのが明朝(1368〜1644)と清朝(1636〜1912)というふたつの王朝だ。これらはそれぞれ、中国社会の伝統部分が形成された重要な時代に相当する。

 近年、ビジネスや学習の面で接触の機会が増えつつある中国だが、彼らと上手く付き合ううえでは、その根底にある文化をしっかり理解することが必要となる。
 中国やインドといった歴史ある国とのビジネスにおいては、当人が普段から身につけている教養が意外と重要なファクターになったりするものなのだ。

 中国の首都・北京は、近郊に多くの世界遺産を有する文化都市としての側面も持っている。
 明清王朝の栄華をしのびつつ、中国文化のルーツをきっちり学ぶには、まさに最高の街だ。北京へは日本の各都市から簡単にアクセスできるので、その点でもお手軽である。

 今回は北京と世界遺産をキーワードに、読者諸兄を勝ちスポ!的中国ツアーにご招待することにしよう。
簡単にアクセス
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明の十三陵

明王朝の墓標
郊外の聖地を訪ねる

 北京市内から北西に車で1時間。天寿山の山麓に広がるのが、明王朝の皇帝たちの陵墓「明の十三陵」だ。

 明朝は当初、朱元璋(しゅげんしょう:洪武帝)によって南京で創立された王朝だったが、北京に本拠地を置く第3代目の皇帝(永楽帝)がクーデターを起こして以来、北京に首都機能を移すようになった。
 明の十三陵は、この永楽帝から末代の崇禎帝(すうていてい)までの13人の皇帝たちの陵墓群である。
 遺跡保全や管理などの理由があるため、現在はこれらの陵墓のうち、観光客に公開されているのは一部にとどまっている。

 参観が可能な陵墓のうちで、もっとも見ごたえがあるとされのが「定陵」だ。
 これは明朝第14代の神宗・万暦帝とその皇后の陵墓であり、内部では壮大な地下宮殿を目にすることができる。
 定陵の発掘に際して、皇帝の眠る場所からは実に数千点もの文化財が発掘されたと伝えられており、明朝の栄華を示す場所として注目の遺跡である。

 ちなみに、定陵の被葬者の万暦帝は50年近くにもわたる統治期間を通じて、「国庫のムダ使いしかしなかった」皇帝として有名である。
 彼は明朝を滅亡にみちびいたA級戦犯として、後世からは非常に悪い評価を受けている人物だ。

 中国人民からもよほど恨まれていたらしく、1960年代の文化大革命の際には、墓をあばいた紅衛兵の手で死体にガソリンをかけられて燃やされるハメに遭っている。過去の歴史が現代の中国社会にまで影響をおよぼしている好例だといえるだろう。

 明の十三陵は、緑に囲まれた参道周辺に多くの歴史的な門や碑文が残存しており、日本の伊勢神宮や東大寺にやや近い雰囲気をかもしだしている。
 騒々しい北京から気軽に足を運べるスピリチュアルスポットとして、旅行に組み込んでみてはいかがだろうか。

――【文化遺産】――
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中華的世界の中心地
天壇公園へ行ってみよう

 中国の皇帝は「天子」と呼ばれ、天命を受けて世界を統治する帝王としての役割が期待された。

 そんな皇帝たちにとって、統治権を保証する「天」は非常に重要な存在であり、天を祀ること(=郊天祭祀)はもっとも重要な仕事のひとつに位置付けられていた。
 歴代の皇帝は天と向かい合い、中華帝国の安定と発展、五穀豊穣を祈念したのである。

 北京の崇文区にある天壇は、明清王朝の皇帝たちが郊天祭祀をおこなった場所だ。

 いわゆる「中華思想」の概念によれば、中国皇帝とはすなわち全世界と全宇宙の支配者を意味する。
 その支配者が天を祀る場所は、すなわち往時の中国人にとっての全宇宙の中心であるに等しく、一部の特権階級の人間以外は立ち入りを許されない聖域だった。

 現在の天壇は遺跡公園として整備されており、一般市民や外国人でも気軽に参観できる場所になっているが、この場所を訪ねるときはそんなことを意識しながら歩くと楽しめるだろう。

 天壇の中心部には、独特の外観を持つ巨大な木造建築物・祈年殿が位置している。
 これはクギを1本も使用せずに建てられたことでも知られ、円形の殿は天の姿を、青い屋根瓦は天空を表現しているとも言われる。
 3層構造になった祈年殿の形状は非常にインパクトが強いため、ときには中国の紙幣のデザインに使われるなど、天安門とならぶ北京のシンボルマーク的存在として有名である。

 いっぽう北京市内には、南に位置する天壇のほかに、北・東・西のそれぞれに「地壇」・「日壇」・「月壇」という遺構が存在する。
 北京の地図で確かめてみると、紫禁城を中心とした四方位に十字型に位置しているのがわかって興味深い。
 現在はそれぞれが公園として市民の憩いの場になっているので、時間に余裕があれば尋ねてみるといいだろう。

――【文化遺産】――
「天壇」1998年登録
天壇