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ユニバーサルデザインの現在

ユニバーサルデザイン(UD)を体験する
ユニバーサルデザインショウケース

 ユニバーサルデザイン(以下UD)が誕生して20年。ノースカロライナ大学のロナルド・メイス氏が提唱したデザイン概念は日本でも受け入れられ、多くのシーンで目にするようになった。

 UDの基本思想はバリアフリー、障壁のない社会の実現にある。
 従来、バリアフリーというとたとえば車椅子の人用に階段のほかにスロープを用意するとか目が見えない人のために点字ブロックを貼るといった、障害者を健常者中心の社会へ誘導するための補助手段だった。

 UDはこの考え方とは根本的に違い、万人を相手にする。

 つまり老若男女、健康な人もそうでない人も、健常者も障害者もすべての人の使いやすさを考えたデザイン、それがUDであり、いわばバリアフリーという考え方からさえもフリーになるデザイン思想なのだ。

 お台場にあるトヨタのショウルーム『メガウェブ』には『トヨタ ユニバーサルデザインショウケース』が併設されている。

 トヨタは自動車メーカーとしてUDに力を入れており、ここに来れば同社の企業努力がよくわかるというわけだ。
 自動車以外にも市販されているUD製品がざっと並べられていて、UDのコンセプトがわかりやすく説明されている。
トヨタ ユニバーサルデザインショウケース
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トヨタ ユニバーサルデザインショウケース

UDの問題点
これを使いたいとは思わない

 UDはいまだ発展途上であり、コンセプトに共感できても、実際にそれを工業的に反映させようとすると難しいものがある。

 デザインの本質は道具としての目的化にあり、それはUDの汎用という考え方と相反するからだ。誰にでも使われるものを誰もが買うとは限らない。

 『トヨタ ユニバーサルデザインショウケース』に並べられたUD商品は80点以上あり、文字表示とボタンの大きなリモコン、ウサギの耳のような形をしたハンドル、横からも上からも目盛りが読めるメジャーカップなどアイデア商品というか、たしかに使いやすいであろうけども、逆に一般的じゃない感じを受ける。
 しかも色による刺激を避けるために中間色系が多いことも、アイデア商品っぽい感じだ。

 UD仕様という自動車も同様であって、対象の間口を広げた結果、商品としての訴求力が落ちている気がする。
 カッコいいものはだいたいにおいて何かが過剰だったり非効率的だったりする。文化的な余白のようなものだ。

 ただでさえ機能性に特化し、それが魅力であると同時に物足りなくもある日本車である。しかもその代表のトヨタが家族全員が使いやすい車を作ったら、家族全員がカッコ悪いと思ってしまうような車が出来てしまった感がある。

 たしかに運転しやすそうだし、便利だし、問題はないのだが。
 人柄よくさわやかな青年は時として退屈だったりもするのだ。
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便利なデザインといいデザイン
魅力的なUDとは?

 同じお台場には松下電器のショウルーム『パナソニックセンター』があり、同社のUD商品を集めた『ユニバーサルデザイン・ラボ』がある。

 薬の袋にICタグを埋め込み、リモコンのような形をした再生機を近づけると音声が薬の中身や投薬方法を教えてくれる『音声ICタグレコーダー ものしりトーク』などの製品以外に車椅子の人でも使いやすいドアの研究など同社のUDに対する取り組みが紹介されている。

 洗濯乾燥機のニューウェーブとして登場、今や定番となった『ななめ式ドラム洗濯機』もUD商品として展示されている。
 財団法人大阪デザインセンターのグッドデザイン商品選定で最優秀賞を受賞した際、評価されたのはUDへの配慮。

 使う人の身長に関係なくドラム内に手が届き、操作パネルも手順に合わせて配置されている。
 洗濯機の上部に物を置くこともできるので、たしかに使いやすい。
 デザイン的にも非常に優れたものがあり、従来の洗濯機のデザインとは一線を画している。

 すべてのUD製品がそうある必要もないが、UDという新しいコンセプト自体がデザインに反映されるとそこにカッコいいデザインが生まれる。

 ななめ式ドラム洗濯機のデザインを前に、デザイナーにはUDを切り口に、旧来のプロダクトデザインの既成概念を打ち破る勇気が必要だと思った。
ユニバーサルデザイン・ラボ