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“純氷”でもそれなりにイケる |
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「今年は暖冬だったので、氷ができませんでした。いつもなら他のお店にも出荷しているんですが、今年は、この本店と支店で出すだけの量です。それもいつまでもつか、という感じです。 温暖化でこれから先、どんどん厳しくなってゆくでしょう。来年はもう取れないかもしれない、と危機感を募らせているところです」 阿佐美冷蔵のおかみさんが最後に語ってくれた言葉だ。
実を言うと、今回の取材は当初、“天然氷のかき氷”がテーマで、あくまでもモノを紹介するはずだった。 天然氷が希少であることは承知していたが、商品として当たり前のように存在するモノだと認識していた。
しかし、それは大きな間違いであった。天然のかき氷は、創る作業の大変さの前に、どうあがいでも創ることが不可能な事態に追い込まれていたのだ。
実際、長瀞町の商店街を歩いてみると、「氷」の旗を掲げた店は数多くある。 が、その氷は「阿佐美冷蔵から仕入れた氷。でも、いつもの天然氷ではなくてふつうの純氷」とのこと。長瀞の夏の名物“天然氷のかき氷”は、温暖化の影響で明らかに追いやられつつあるのだった。
さらに日光霧降高原チロリン村にも尋ねてみると、「例年9月いっぱいやっているのですが、今年は8月で終わりかな、という感じです」と、同様の答えが返ってきた。
“天然”であるが故の事情とはいえ、なんともショッキングな事態だ。 計らずして、今回食べることができて「ラッキー!」などと喜ぶ気にはなれない。 日本の自然環境と職人によって育まれる“天然氷”が失せてしまうのも時間の問題、の可能性が大なのだ。あの独特の味わいを知った後だけに、いっそう残念でならない。
でも憂えてばかりもいられない。長瀞駅前の商店のひとつ“まるぶつ”で、代替として使われている“純氷”のかき氷も試して比べてみたが、正直なところ味そのものの違いはさほどわからなかった。
製氷そのものは施設の中で行われるとはいえ、限りなく天然氷に近い状態を再現すべく、手間隙をかけて作られているだけに、特に“やさしい冷たさ”は近いものがあるように感じた。
家庭で氷を利用する場合、冷凍庫で作った氷を用いることが多い。でも、時には純氷を取り寄せてみてはどうだろう。 天然氷が創られるギンギンに冷えた冬のイメージすれば、清涼感も味わいもいっそう引き立つに違いない。 そして、温暖化で解けゆく地球の氷に思いを馳せてみれば、もっと効果的かも。
取材協力:まるぶつ
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