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ハイエンドオーディオ(超高級オーディオ)

「小さく・手軽に」は確かに便利!
……でも、どこか味気ないのは一体ナゼ?

薄さ6.9mm、重量42gのコンパクトボディに、約1,000曲もの音楽ファイルを入れて持ち運び可能な音楽プレーヤー「iPod nano」が巷で大人気だ。一度街に出ると、そこかしこでiPod付属の白いヘッドフォンを耳に付けた人を見かける。2005年の今、音楽を聴くスタイルのトレンドは「小さく・手軽に」がキーワードとなっているのは紛れもない事実だろう。
 それらが、音楽の楽しみ方に画期的な新風を吹き込んだのは間違いない。だが、それと引き換えに犠牲となってしまった「聴く事の魅力」がいくつかある。その中で、特に大きなものが「音質」の問題だ。
 まず原因として挙げられるのが、iPodなどで使われる「MP3」や「AAC」といった音楽ファイルの問題だ。これらは、人間の耳に聴こえにくい部分の音を省略する事でデータ量を減らし、多くの曲を持ち歩く事を可能にしている。少し聴いただけでは判りにくいが、演奏の生々しさ、録音された場所の空気感といったものがかなり薄らいでしまい、どこか味気なくなる。
 そしてもう一つの問題が、音楽を聴くための機器自体の問題だ。機器を小型化するために用いられるLSIなどの電子部品は、ことオーディオの分野に関しては音の暖かさ、ダイナミックさを減少させる原因となる場合が多い。
 そんな中、便利さばかりを追求する世間を尻目にひたすら「良い音で聴く」という事のみをストイックに追求し続ける世界がある。それが「ハイエンドオーディオ」の世界だ。今回は、ハイエンドオーディオに秘められた優雅で魅惑的な世界のエントランスに貴方をご招待しよう。
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そこには人命にかかわるのと同じ程の
神経が注がれていた!

一般に、機械は最新技術で小型化されたものの方が高級である場合も多い。だが、ハイエンドオーディオの世界は、それとは全く逆の「デカい!重たい!面倒くさい!」の連続だ。一体何故そんな事になってしまうのか?それには、ちゃんとした理由と、補って余り有るだけの果てしない魅力があるのだ。
先述したように、LSIなど小型化・コストダウンのための部品は音質に必ずしも良い影響を与えない。扱う対象が「音」という感性に直結する部分だけに、数式的に正しい回路なら良い音になるというわけでは無く、時には非常に曖昧でもある人間の感覚に合わせた設計が必要になるのだ。
ハイエンドオーディオの世界では、大量生産に適した安価で小型な部品はほとんど使われない。回路の箇所ごとに最善と思われる部品が集められ、さらに同じ種類の部品であっても、僅かでも出来の良くないものは事前に除外される。この基準は、普通の電気製品よりもはるかにシビアなものだ。
またハイエンドオーディオでは、特に電源周りの部品などで「ホスピタルグレード」というクラスのものを使う事も多い。これは文字通り元々医療機器に使われるために設計された部品の事で、人の命を預かる機械と同じ位の神経が、ひたすら「良い音」を追求するためだけに注がれているのだ。
これらの要因が重なって、ハイエンドオーディオの機器は高価で、かさばり、デリケートなものになってしまうのだ。しかし、そこから生み出されるサウンドは、設計した技術者と音楽家との「魂の協演」とでも呼ぶべき流麗なもので、それには一度聴いたら戻れない程の快楽が秘められている。
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なるほどそいつは凄そうだ……。
で、何が必要なの?

それでは、ハイエンドオーディオを楽しむには何が必要なのか、どんな製品があるのかを紹介して行こう。
ハイエンドオーディオのシステムを組む場合、CDなどを再生する「プレーヤー」、プレーヤーからの信号を増幅させる「プリアンプ」、スピーカーをドライブさせる「パワーアンプ」、そして「スピーカー」の4つが最低限必要となる。これ以外に、機器を接続するためのケーブルなどにもハイエンドな製品が存在するが、それらはいずれ稿を改めて紹介しよう。
まずCDなどを再生するプレーヤーだ。盤自体には劣化の殆ど無いデジタル方式で音声が記録されているCDでも、例えば音の出口となるDAコンバーターという部品の違いなどで音質は大きく異なってくる。
また、最近は次世代のCD規格である「SACD」や、オーディオ向けに特化された「DVD-Audio」という規格の再生に対応したプレーヤーも数多い。特にSACDは、従来のCDより遥かに豊かな音声情報を記録可能で、SACDと同じ方式がレコード会社のマスター音源保存に採用されている例もあるなど、音楽制作サイドでも非常に注目を集めている画期的な規格だ。
SACD、DVD-Audioの再生に対応した製品には、ESOTERIC「UX-3」(735,000(以下、価格は全て税込))、LINN「UNIDISK1.1」(1,575,000)などがある。また従来のCD再生用のプレーヤーとしては、専門誌の比較試聴でも一位を獲得したMARK LEVINSON「No390SL」(1,417,500)がある。このいずれもが、最高峰の名に相応しい性能と風格有るサウンドを備えた超一流品ばかりだ。