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今宵、本格焼酎をロックで味わう!

良い品質の焼酎があふれる今だから
みんなが味を楽しめるブームになった

「いらっしゃいませ、飲み物は何になさいますか?」店の人の問いかけに、以前なら「じゃあ、とりあえず最初はビール」というのが客の主流でした。もちろん最近でもこの受け答えが大半を占めるでしょう。が、ここ数年、最初の一杯から「焼酎をロックで」「芋をお湯割で」などと言う客も珍しありません。ビールを飲んだ後、次に飲む酒になると、圧倒的に「焼酎」が増えてきました。いわゆる「本格焼酎ブーム」の到来です。

「いいちこ」「二階堂」など「安い」、「次の日残らない」が定評の「麦焼酎ブーム」。いたるところで「イッキ!」「イッキ!」が大流行当時の定番酒として巻き起こった「チューハイ・ブーム」。そんなこんなを経て、焼酎ブームもようやく「本格焼酎(特に芋焼酎)の時代」に落ち着きました。業界内では「いつまでも続かない」「一過性だろう」とも囁かれていましたが、そのブームもすっかりホンモノ。今もなお、酒販店、飲食店などでは、人気、売上……ともに「本格焼酎」が高い伸びを見せています。主流の産地である九州・鹿児島では原料の甘藷(あまいも=さつまいも)生産が追っつかない、また、人気品薄の焼酎(たとえば「魔王」、「森伊蔵」など)はネットオークションで値段が10倍にも20倍にも跳ね上がる……など、その裏でも多くの話題も生み出すほどの勢いです。

 その昔は、焼酎といえば、日本酒(清酒)よりも安く、粗悪なイメージもなきにしもあらずが現実で、チープ感漂うお酒でした。ところが、今や、その製法、流通、保存などに細心の注意がはらわれ、良質の、美味しい焼酎がさまざまに増えてきました。ブームとは言え、やはり根底には「美味しい」という裏づけが必要です。本格焼酎の多くは、そんな飲む人のニーズに見事に応えています。これがブームの裾野を拡大していった要因でしょう。今回はそんな本格焼酎をわかりやすく解説し、その魅力の一端に触れてみましょう。
とりあえず焼酎
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焼酎の基本

好きで飲むからには
知っていて損はない焼酎の基本

 お酒の大好きな人ならご存知かもしれませんが、お酒には、おおまかに分類して3種類があります。まずひとつは原料を発酵させて作る「醸造酒」。日本酒(清酒)、ビール、ワインなどがこれです。ふたつめに原料を発酵させ、さらにそれを蒸留して作る「蒸留酒」。ウイスキー、ブランデーなどがこれで、今ブームの焼酎もこの「蒸留酒」に属します。残りのひとつは「混成酒」と呼ばれるもので、リキュール、甘味果実酒、みりんなどです。

 日本酒(清酒)が日本を代表する「醸造酒」だとすれば、同様に、焼酎は、自信を持って世界に誇ることのできる日本独自の「蒸留酒」であると言えます。15世紀の半ばごろ、シャム(現在のタイ)を経由して、蒸留器とその技術が、琉球(沖縄)にもたらされました。そこでタイ米を原料とした琉球の「泡盛」が誕生します。その後、琉球を経て薩摩(鹿児島)に蒸留器、技術が伝わり、現在の「焼酎」のルーツが確立していったと言われています。薩摩では、原料に米ではなく甘藷を使用し、独自の開発を進めました。これが「芋焼酎」です。その後も、蒸留技術は各地に伝えられ、そこで創意工夫が加えられ、土地土地の多種多様な原料から、優れた焼酎が生み出されることになります。

 また、焼酎にも大きく2種類があります。連続式に蒸留する「焼酎甲類」(アルコール度数36度未満)と、原料を発酵した後、単式の蒸留器で一度だけ蒸留する「焼酎乙類」(アルコール度数45度未満)のふたつです。甲類は、連続式の蒸留器で精製するため原料の味も風味も残らない極めて純化されたアルコール。他の雑味がないことで、レモン、ライム、緑茶などと割る「チューハイ」などに最適です。いっぽう、今ブームの本格焼酎は後者の「焼酎乙類」です。蒸留が一度だけなので、原料(芋、そば、ごまなど)の独特な香り、味などを醸し出します。各々の特徴的な味を楽しめるのが「本格焼酎の良さ」です。
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こんなに美味しい本格焼酎を
あなたは味わったことがありますか?

 焼酎には、使用する原料によってさまざまな種類があります。熊本・球磨を中心に広まった「米焼酎」、宮崎・山間部、長崎・壱岐などで盛んに作られる「麦焼酎」、宮崎の「そば焼酎」、鹿児島・奄美諸島限定の「黒糖焼酎」、福岡の「胡麻焼酎」、佐賀の「菱焼酎」などなど……。さらには「カボチャ焼酎」、「馬鈴薯焼酎」、「もろこし焼酎」、「人参焼酎」まで、各地の特産を活かした焼酎が開発され、生産されています。

 中でも、昨今、極端に人気が高い本格焼酎が「芋焼酎」です。鹿児島・白玉酒造が誇る「魔王」(25度・甘藷と米麹による)は、「幻の3大芋焼酎」のひとつ。ストレート、ロックで個性豊かな味わいが楽しめるのは当然ですが、水割り、お湯割りにしても、割負けしない骨太な美味しさがあります。鹿児島・森伊蔵酒造の「森伊蔵」(25度・コガネセンガンと米麹による)もまた、五代目当主が数々の試行錯誤の末にようやく辿り着いた焼酎で、芋独特の香りがすこぶる上品に仕上がった飲み口さわやかな逸品です。

 ところが、これら本格焼酎の造りは、なかなか大量生産というわけにはいかず、ほとんどすべての工程が手作業に近い状態で、その生産量は限定されます。このことが市場のニーズとのギャップを生み、ともに1800mlで2000円台の価格が、何万円ものプレミアがつく結果となってしまいました。中身が偽の焼酎まで登場する始末です。

 でも、生産者の方々も、それを販売する酒販店の方々も、飲ませてくれるお店の方々も、誰一人、法外な高い値をつけようとは思っていません。自分たちの造った焼酎、売る焼酎は、良品だからこそ適正な値段で、楽しく飲んでもらおうと考えています。飲み手の側であるわたしたちも焼酎を味わうときには、そんな真意を汲み取ってあげることが必要です。

 自分の舌で「美味しい!」「これが好き」と思える焼酎こそが、いちばんなのですから。
幻の3大芋焼酎-魔王・森伊蔵・伊佐美