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都内でブドウ狩りを楽しむ

ニワトリがいてブドウがなって
都会の中の不思議な農園

木村ぶどう園』は東京23区のうち、世田谷区にある農園だ。都会の真ん中で、夏はブドウ狩り、冬はイチゴ狩りが楽しめる貴重なスポットである。

着いて驚いた。たしかにブドウ園なのだが、どういうわけか、ものすごい数のニワトリがブドウ棚の下を走り回っているのだ。

「ブドウ以外に野菜も作っているんですが、そこで出たクズを摘まんでもらってます。鶏糞は来年の肥料になりますし、卵もとれる」

と園主の木村さん。なるほど一石三鳥というわけだ。ニワトリ80羽と高い栄養価で知られる烏骨鶏が80羽、合わせて160羽がブドウ畑の中で放し飼いにされている。それはもう本当にニワトリだらけ、エサをもらえると思うのか、人間を見つけると立派なニワトリがザザッと寄って来る。鯉のようだ。連れて行った子どもは大喜びでニワトリを追いかけ始めた。

卵は一般向けに販売されているが、

「ブロイラーと違って、自由気ままに虫を追いかけてみたり走ってみたりで、奴ら、あんまり卵を産む気がないんですね」

その上、毎週買って行く常連客もあるため、卵はいつも不足気味。だから希望者には予約販売の形をとっている。配送は行っておらず、欲しい人は農園まで取りに来てもらっている。

ブドウとニワトリ。実際に目にするとシュールな光景である。
木村ぶどう園
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木村ぶどう園

毎年500人以上が訪れる晩夏のイベント
今年は8月26日スタート

今年のブドウ狩りは8月26日9時から開始になる。夏の終わり、木の表皮が茶色に変わると実の熟したサインである。

「去年は初日に200人ぐらいいらっしゃいましたね。その時その時で人数は違うんですよ、花火大会にぶつかったりとか。お子さん連れで、夏休み、どこにも連れて行けなかったからといらっしゃる感じだと思いますね」

開園前にはずらっと農園の端まで列が伸びるそうだ。遠くは千葉、横浜から家族連れでやってくる。

「あのあたりは直売所は多いらしいんですけどね。買えるけど中には入ることができない」

自分の手でたわわな実をもぐのは、また格別の楽しみだ。ブドウは量り売りで1キロ1575円。

「小さなものはひと房500グラムぐらいですが、大きいと1キロぐらいあると思いますね」

木村ぶどう園がブドウを作り始めたのは20年前のこと。当時の区長がワイン好きで、世田谷区でもワインができないかと言い出したのがきっかけだそうだ。そこでブドウを作ろうということになり、ブドウ研究会が発足、東京の真ん中でブドウ作りが始まったそうだ。

現在は巨峰のような黒系の藤稔、高尾、高墨、高妻、ハイベリーなど、紅系では紅瑞宝、マスカットのような白系でハニービーナスを混合で栽培している。
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ニワトリも啼いて喜ぶ立派なブドウ
こぼれそうに大きな果実

ブドウの実を見せてもらった。

ブドウはひと房ごとに紙の袋で包んである。主に鳥と病気から実を守るためだ。ブドウ園は全体にネットが張られているが、それでも鳥はネットの間に止まり、実を食べようとする。袋で守らないと傷つけられる。病気にもかかりやすい。消毒するため、先に袋をかぶさせておかないと薬品が実にかかってしまうのだ。

1年に1度しか果実はならない。小さなうちから袋をかけて、ゆっくりじっくり育てていくんですよ、と木村さん。

ブドウの房に手を伸ばすと、ワラワラとニワトリが集まってきた。人懐っこいですね、というと、

「ブドウを食べたいんだよね」

ここのニワトリはブドウを食べるらしい。

「うちの場合、注意事項でブドウの籠を下に置く時は気をつけてくれと言ってますから。ニワトリに食べられちゃうから」

袋を取ると、ゴロンゴロンとしたブドウの果実が今にも落ちそうだ。非常に粒が大きい。1粒がピンポン玉ほどもあるんじゃないだろうか。

それを見た子どもが大喜びで口を開け、足元でニワトリがコッケー! と啼いた。
木村ぶどう園